ここは「花待館」の別館となっています。非公式で「うみねこのなく頃に」「テイルズオブエクシリア」「ファイナルファンタジー(13・零式)」「刀剣乱舞」の二次創作SSを掲載しています。
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この間の「うみねこ」のヤンデレものの朱志香サイドです。
!諸注意!
・朱志香が碑文を解いて次期当主になっています。
・ついでにベアトリーチェ=朱志香になっています。
・マリアージュ・ソルシエールと戦人の過去に多大なる捏造があります。
・ついでにR15くらいです。
それではどうぞ。
Romance of stardust
!諸注意!
・朱志香が碑文を解いて次期当主になっています。
・ついでにベアトリーチェ=朱志香になっています。
・マリアージュ・ソルシエールと戦人の過去に多大なる捏造があります。
・ついでにR15くらいです。
それではどうぞ。
Romance of stardust
何故こんなことになってしまったのだろう。
自らを拘束する柔らかな檻の中で少女は考え続ける。
両親を、親類を殺されて、彼女が走った先は誰もいない貴賓室だった。
--何で、こんなことになったんだ……。
彼女を拘束した少年の瞳を思い出す。
あんなに澄んだ目をしていたのに、少女に愛を迫ったときはすっかり濁りきった目をしていた。
--どうして、どうしてこんなことしたんだよ……。
枯れかけたと思った涙はまた再び湧き上がり、彼女は小さく嗚咽を漏らす。
あの時、自分は失恋したのではなかったのか。彼は彼女の想いを拒んだのではなかったのか。
それでも、彼女は諦められなかった。自分の想いが叶わなくとも、彼が人間だと自覚して欲しかった。
それなのに、あの時彼女を抱きしめた少年は彼女に愛して欲しいと言った。
それがこんな状況下でなければ、彼女は受け入れたかもしれない。
「だけど……なら、どうしてこんなこと……嘉音くん……」
朱志香は一言少年の名を呟くと、もう一度静かに涙した。
Romance of stardust
朱志香が目覚めると、そこは見慣れた自室ではなかった。
天蓋。柔らかく大きなベッド。鼻腔を侵す甘ったるい異臭。
金蔵の部屋だ。
嘉音に飲まされた薬物のせいか、頭が上手く働かない。仕方なしに首を動かして辺りを見回すと、足下でがしゃん、と何かを填める音がした。
「か……嘉音、くん……?」
「お目覚めになられましたか、朱志香様」
足下で何かをしていた嘉音がこちらにやって来る。朱志香の自室でそうしたように、また唇をいいように弄ぶつもりか。
思わず身を固くして縮こまろうとしたが、手首と足首に違和感を感じる。見れば、じゃらりと重たい鎖と、それがつなぐ二つの輪。
手錠が填められていた。
それに気を取られた隙をついて、嘉音は朱志香を抱き寄せた。
「やっ……」
「朱志香様……愛しています。ずっとあなただけが好きでした」
「……っ」
彼が文化祭の夜にそう言ってくれれば、いや、もう時期はいつでも構わない。こんな状況下、両親も親類も殺されて、それを遂行したのが嘉音でなければ、朱志香は彼の告白が嬉しくてたまらなかっただろう。
失恋したと思っていたのに。
家具と人間は恋愛など出来ないと言い出したのは彼だったのに。
「知っていらっしゃいますか」
「……何を?」
「お館様は朱志香様がお生まれになる前、ベアトリーチェという人間を囲っていらっしゃいました」
「祖父さまが……九羽鳥庵に、か」
「はい。朱志香様からインゴットをお借りした際、九羽鳥庵に行きましたが。僕は鳥籠のようだと思いました」
鳥籠なんかじゃない。
朱志香はそう言い返したかった。
あれは祖父である金蔵と、ベアトリーチェの唯一の愛の証だ。
確かに金蔵は鳥籠のつもりだったのだろう。
ベアトリーチェにも鳥籠に見えたのかもしれない。
それでも、朱志香は思う。
「でも、あれは、さ……祖父さまとベアトリーチェの黄金郷だったんだよ……鳥籠なんて、言うなよ……」
黄金郷は黄金郷だ。九羽鳥庵は、金蔵とベアトリーチェの愛の証、黄金郷だ。
それは紛れもない朱志香にとっての真実。
けれど、朱志香の真実を嘉音が鳥籠だと言ってしまえば、それは愛の証ではなくただの狂気の残骸と成りはてる。
自分の中にある真実を塗り替えられてしまうのが、朱志香には怖かった。
「朱志香様には愛の証に見えたかもしれません。けれど、僕は思ったのです」
「……?」
「この鳥籠に、今のベアトリーチェ様を閉じこめたい、と」
今のベアトリーチェ。
言われなくとも思い出せる。
それは紛れもなく右代宮家序列第六位、右代宮朱志香のことなのだから。
幸せの白き魔女、ジェシカ・ベアトリーチェのことだからだ。
その彼女を彼は閉じこめたいと言う。
「どういうことだよ……」
「あなたを他の男に取られたくない、他の男にほほえみかけて欲しくない、僕以外の男の視界にはいることですら許せないのです……!」
それは、何でもない、ただの男の嫉妬。
恋人を監禁するには妥当だが、仕える主人を監禁するには不遜すぎ、六人も殺すには矮小すぎる理由。
まして、朱志香は嘉音の仕える相手であり、恋人でも何でもない。
「だから……母さん達を殺したって言うのか!?そんなことして、君は幸せになれるのかよ……っ」
湧き上がる怒りをぶつけきる前に、唇を奪われる。
「僕は今……とても幸せです。朱志香様と幸せになるためなら僕は何でもしましょう」
「じゃあ……今すぐこの馬鹿げた事件を止めろよ。楼座叔母さん達をこの部屋に呼んで、全部白状しろよ」
嘉音は首を横に振る。
「……申し上げたでしょう、朱志香様が僕を愛してくださるまで、この儀式は続くと」
朱志香を抱き上げると、彼は金蔵の椅子に彼女を据えた。
額に軽く口付けて嘉音は部屋を出て行った。
何をしに行くのか、朱志香には何となく分かる。
きっと彼が儀式と呼ぶ、あの碑文に沿った殺人劇を遂行しに行くのだ。
だから、彼女は自らの身体を丸めてお師匠様、と言葉を絞り出した。
自らを拘束する柔らかな檻の中で少女は考え続ける。
両親を、親類を殺されて、彼女が走った先は誰もいない貴賓室だった。
--何で、こんなことになったんだ……。
彼女を拘束した少年の瞳を思い出す。
あんなに澄んだ目をしていたのに、少女に愛を迫ったときはすっかり濁りきった目をしていた。
--どうして、どうしてこんなことしたんだよ……。
枯れかけたと思った涙はまた再び湧き上がり、彼女は小さく嗚咽を漏らす。
あの時、自分は失恋したのではなかったのか。彼は彼女の想いを拒んだのではなかったのか。
それでも、彼女は諦められなかった。自分の想いが叶わなくとも、彼が人間だと自覚して欲しかった。
それなのに、あの時彼女を抱きしめた少年は彼女に愛して欲しいと言った。
それがこんな状況下でなければ、彼女は受け入れたかもしれない。
「だけど……なら、どうしてこんなこと……嘉音くん……」
朱志香は一言少年の名を呟くと、もう一度静かに涙した。
Romance of stardust
朱志香が目覚めると、そこは見慣れた自室ではなかった。
天蓋。柔らかく大きなベッド。鼻腔を侵す甘ったるい異臭。
金蔵の部屋だ。
嘉音に飲まされた薬物のせいか、頭が上手く働かない。仕方なしに首を動かして辺りを見回すと、足下でがしゃん、と何かを填める音がした。
「か……嘉音、くん……?」
「お目覚めになられましたか、朱志香様」
足下で何かをしていた嘉音がこちらにやって来る。朱志香の自室でそうしたように、また唇をいいように弄ぶつもりか。
思わず身を固くして縮こまろうとしたが、手首と足首に違和感を感じる。見れば、じゃらりと重たい鎖と、それがつなぐ二つの輪。
手錠が填められていた。
それに気を取られた隙をついて、嘉音は朱志香を抱き寄せた。
「やっ……」
「朱志香様……愛しています。ずっとあなただけが好きでした」
「……っ」
彼が文化祭の夜にそう言ってくれれば、いや、もう時期はいつでも構わない。こんな状況下、両親も親類も殺されて、それを遂行したのが嘉音でなければ、朱志香は彼の告白が嬉しくてたまらなかっただろう。
失恋したと思っていたのに。
家具と人間は恋愛など出来ないと言い出したのは彼だったのに。
「知っていらっしゃいますか」
「……何を?」
「お館様は朱志香様がお生まれになる前、ベアトリーチェという人間を囲っていらっしゃいました」
「祖父さまが……九羽鳥庵に、か」
「はい。朱志香様からインゴットをお借りした際、九羽鳥庵に行きましたが。僕は鳥籠のようだと思いました」
鳥籠なんかじゃない。
朱志香はそう言い返したかった。
あれは祖父である金蔵と、ベアトリーチェの唯一の愛の証だ。
確かに金蔵は鳥籠のつもりだったのだろう。
ベアトリーチェにも鳥籠に見えたのかもしれない。
それでも、朱志香は思う。
「でも、あれは、さ……祖父さまとベアトリーチェの黄金郷だったんだよ……鳥籠なんて、言うなよ……」
黄金郷は黄金郷だ。九羽鳥庵は、金蔵とベアトリーチェの愛の証、黄金郷だ。
それは紛れもない朱志香にとっての真実。
けれど、朱志香の真実を嘉音が鳥籠だと言ってしまえば、それは愛の証ではなくただの狂気の残骸と成りはてる。
自分の中にある真実を塗り替えられてしまうのが、朱志香には怖かった。
「朱志香様には愛の証に見えたかもしれません。けれど、僕は思ったのです」
「……?」
「この鳥籠に、今のベアトリーチェ様を閉じこめたい、と」
今のベアトリーチェ。
言われなくとも思い出せる。
それは紛れもなく右代宮家序列第六位、右代宮朱志香のことなのだから。
幸せの白き魔女、ジェシカ・ベアトリーチェのことだからだ。
その彼女を彼は閉じこめたいと言う。
「どういうことだよ……」
「あなたを他の男に取られたくない、他の男にほほえみかけて欲しくない、僕以外の男の視界にはいることですら許せないのです……!」
それは、何でもない、ただの男の嫉妬。
恋人を監禁するには妥当だが、仕える主人を監禁するには不遜すぎ、六人も殺すには矮小すぎる理由。
まして、朱志香は嘉音の仕える相手であり、恋人でも何でもない。
「だから……母さん達を殺したって言うのか!?そんなことして、君は幸せになれるのかよ……っ」
湧き上がる怒りをぶつけきる前に、唇を奪われる。
「僕は今……とても幸せです。朱志香様と幸せになるためなら僕は何でもしましょう」
「じゃあ……今すぐこの馬鹿げた事件を止めろよ。楼座叔母さん達をこの部屋に呼んで、全部白状しろよ」
嘉音は首を横に振る。
「……申し上げたでしょう、朱志香様が僕を愛してくださるまで、この儀式は続くと」
朱志香を抱き上げると、彼は金蔵の椅子に彼女を据えた。
額に軽く口付けて嘉音は部屋を出て行った。
何をしに行くのか、朱志香には何となく分かる。
きっと彼が儀式と呼ぶ、あの碑文に沿った殺人劇を遂行しに行くのだ。
だから、彼女は自らの身体を丸めてお師匠様、と言葉を絞り出した。
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