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ここは「花待館」の別館となっています。非公式で「うみねこのなく頃に」「テイルズオブエクシリア」「ファイナルファンタジー(13・零式)」「刀剣乱舞」の二次創作SSを掲載しています。
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C90新刊のWEB版になります。
LRFF13シークレットエンディング後、とてもワーカーホリックなホープ君がライトさんにとあるお願いをする話です。
同人誌版は後日BOOTHにて通販予定です。(エロシーンが大幅増量の予定です)
妄想による職業・世界観の捏造がございます。


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はぁ、とエクレール・ファロンはため息を吐いた。目の前にはにこにこと笑う恋人・ホープ・エストハイム。その手にはどこで用意してきたのかと小一時間問い詰めたくなるような衣装が乗っている。
「ね、着てくれますよね? エクレールさん」
眼の下に隈を作っているにもかかわらず、とんでもなく上機嫌な恋人を、なんでこうなったと彼女は恨めしげに睨んでやった。


☆  ☆  ☆


発端は確か、ホープがあまりに不摂生な生活を送っていたことだったと思う。いつぞや不可視世界から見ていた時に比べればマシではあるが、それでも一週間のうち、職場に缶詰めになって家に帰れるのがたったの二日とは見上げたワーカーホリックぶりだ。何故そんなことをエクレールが知っているのかと言えば、何のことはない、彼女の上司がホープだからである。
この世界に転生して、エクレールは前の世界と同じように軍に属することを考えないわけではなかった。自分がこの手で摘み取ってしまった命は、あの世界で償いきれたかと聞かれれば、胸を張って償ったと答えることが出来ない。その負い目もあったし、自分が剣を取ることで助けられる命があるならば、とも思った。だが、やはりというべきか、……前の世界を覚えているからともいうべきか、妹のセラが大反対したのだ。前の世界のようにケアル・ギアやエスナ・ギアがあるわけでもないし、当然ながらグラビティギアも開発されていない。おまけにルシでもなければ女神の騎士でもないし、解放者でもない。だが、その代わりにルシも混沌も魔物もいない。治安だって姉妹が生まれ育った地域は決して悪くない、むしろ平和な程だった。ううん、と困った顔をした両親を前に、決定してもいなかった就職先を考え直す羽目になったのである。
そんな時にホープと再会した。どうしようかと考えた末に、両親並びにセラが快く許してくれたために一年ほど大学を休学して旅に出たのだ。その旅の終わりに、エクレールは彼と再会した。言葉もなくただただ抱きしめてくる、最後に見た姿よりも大分大人になった姿に目を奪われたのを覚えている。本当はもし逢えたなら何を言おうとずっと考えていたのに、ただただ心の奥底が震えて、何の声も出なかった。気の利いた言葉一つも掛けることが出来なかった。
『僕が、ずっとあなたを守ります。……守らせてください』
ホープにそう告白されたのはその日の夕方のことだ。近況を軽く話して、食事でも行こうかということになったその時に、不意打ちに近い形で言われたのである。少し考えさせてくれ、と言ったものの、次の日ホテルをチェックアウトし、ホープと共に駅まで歩く道で答えを出した。
『私は、お前を守りたかった。……それは、今でも変わらない。あの世界では結局守れなかったから』
世界が終わる前に、ホープはエクレールの……ライトニングの残した言葉を抱いて前に進んできたのだと言った。何も怖くないのだと。……それに救われると同時に、傍で守ってやれなかった深い悔恨が、ずっと彼女の胸の中に刻まれている。だが、それだけでこんな返答はしない。見つめてきた真摯な眼差しに、触れ合った手の温かさに、エクレールは過去に生きた少年ではなく今を生きるホープに恋をした。だから、好きだと囁いたのだ。
そんな風に恋人同士になった一年後、大学を卒業した彼女はとある研究所に就職した。考古学や文化人類学など、歴史や文化に関する学者を集めた研究所だ。エクレールが勤務するのはその一角の、エストハイム研究室だ。決して恋人の研究室だから就職したわけではないのだが、卒業論文を担当してくれた教授に紹介状を書いてもらったと思ったら、その数日後にはエストハイム研究室長の助手として就職活動が終わっていた。大学にまでわざわざホープがやってきて『お願いしますね』なんて言うものだから、慌てて新居と家電の手配をしたのを覚えている。彼は同居でも構わないと言ったのだが、上司と同居なんて他の人間はいい顔をしないだろう。
だが、就職した一週間後にはホープ・エストハイムという人間がいかにワーカーホリックかということをありありと目の当たりにしてしまうことになる。最初はただ忙しいだけかと思っていたが、学会や研究旅行のない月でも泊まり込んで仕事をしているし、休日出勤もしているし、これはどういうことだと問い詰めたのだ。返ってきた答えは『前の世界でもこうだったからつい癖で』などというとんでもないもので、改善しますという言質を取ったもののいくら待っても一向に改善される気配がない。ホープ一人が残業と休日出勤をするのも心配にはなるが、エクレールだって付き合わされるのだ。たまには休みを取って二人でゆっくりしたっていいだろう……そう思いあまって痺れを切らして問い詰めた結果が今の状況である。





「じゃあ、僕の生活、監視してください。勿論住み込みで」
そうして目の前に出されたのが、黒いロングのエプロンドレス……通称メイド服だったのだ。


つづく
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