ここは「花待館」の別館となっています。非公式で「うみねこのなく頃に」「テイルズオブエクシリア」「ファイナルファンタジー(13・零式)」「刀剣乱舞」の二次創作SSを掲載しています。
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こんばんは。最近気温がよく分からないです。
通販についてのアンケートですが、今のところやる方向に行くんじゃないかなと思います。ご意見のほうもお待ちしております。
さて、今回もキンセブ。小さい頃の話とか面白いかもと思って書きました。ねつ造しまくりですけども。
では、どうぞ。
降り積もる雪の中で
通販についてのアンケートですが、今のところやる方向に行くんじゃないかなと思います。ご意見のほうもお待ちしております。
さて、今回もキンセブ。小さい頃の話とか面白いかもと思って書きました。ねつ造しまくりですけども。
では、どうぞ。
降り積もる雪の中で
今日からあなたたちは家族よ。
マザーに言われた言葉はすんなりと心に馴染んで、けれども拭いがたい違和感をその二人に残した。
降り積もる雪の中で
セブンが外局に来てからすぐにその少年はマザーの子供となった。
キング、と名乗った彼は、必要なこと以外は口を開くことがない。セブンから話すことも特段無かったので、2人きりの生活は静かに始まった。
そんなある夜のことだ。
外は大雪で、音という音がかき消されて聞こえない。
そんな夜に一人でいるのが、セブンは堪らなく怖かった。
たった一人の身内だった母を亡くした夜、独りぼっちで所在なく縮こまっていた家の中を思い出すから。
忘れてはいけないことがあったはずなのに忘れてしまったセブンに、何か得体の知れない怖いものが罰を与えに来そうな気がしたのだ。
(こわい)
あの日のようにベッドの中でまるで繭に籠もる蛹のように体を縮こまらせて、セブンは一人震えていた。
(マザー……)
記憶の中で大丈夫よ、と抱きしめてくれたのはいつもマザーだった。
実の母の面影は、クリスタルに消されてしまった。温かい手も、優しい笑顔も、セブンの記憶の中には残らない。
だから、彼女はそれが怖かった。(私が思い出せないから)降り積もる雪は相変わらず辺りの音を消している。セブンの母は、音もなく彼女の中から消えていった。
何か怖いものが、あんな風に音もなく自分を連れて行ってしまうのではないか。
そんな恐怖に苛まれて、セブンはぎゅっと目を閉じた。
(嫌だよ)
(怖いよ)
誰かに縋れるならば縋りたかった。怖いと泣きじゃくりたかった。けれどもマザーはいなかった。
キングの部屋を訪ねなかったのは、偏に彼女のほうが年上だったからだ。
お姉さんにならなければ、そう思ったからだ。
それでも怖いものは怖かった。
苛む不安は大きさを増し、次第にセブンの目に涙が溢れる。
(いやだ、つれていかないで)
ひく、と喉の奥が引きつった。溢れた涙がぽろぽろと涙が目尻を、目頭を濡らすのを感じる。
(だれか、たすけて)
傍にいて欲しい。大丈夫だと抱きしめて欲しい。誰でも良い、誰か。
(そばに、いて)
とうとう堪えきれなくなった声が固く閉ざした唇から漏れたとき、セブンの耳にがちゃりと音が飛び込んできた。
「っ……だ、れ」
涙を拭くのも忘れて、セブンは飛び起きた。
「セブン」
ようやく聞き慣れた声が耳朶を打つ。
「キング……どうした?」
みっともなく声が震える。泣いていたのを悟られたくないのに、セブンの頬をいつの間にか涙が伝う。
部屋が暗いからキングの表情は判らないが、彼はおもむろに彼女に近づいて、ぎゅっと抱きしめた。
「大丈夫だ、セブン」
「なに、が」
「俺が、ずっと、傍にいる」
子供らしいふっくらした腕はマザーのように力強くはない。けれども、同じように温かい。
「俺も、怖い」
キングがぽつりと漏らした本音に、セブンはたまらずすがりついた。
「ひとりは、こわいよ」
もう、お姉さんでいたいなんて考えられなかった。
「つれていかれそうで、こわいよ」
「俺が傍にいる。セブンを連れて行かせたりしない」
だから、と抱きしめる腕に力がこもる。
「セブンも、ずっと俺の傍にいてくれ」
寡黙な少年がこれほど喋るのは珍しい。それでもその言葉は温かくて力強くて、何よりも安心できた。
「ありがとう、キング」
嘘なんてない、真っ直ぐな言葉にセブンは目を閉じた。腕を回してぎゅっとキングを抱きしめる。そのまましばらく身を委ねていると、つぅ、と頬を涙が伝った。
2人の鼓動が重なり合って、次第に眠気が訪れる。
「おやすみ、キング」
優しい腕の中でそう言って、セブンは意識を手放した。
夜が明けると雪は止んでいた。
目を覚ましたセブンは、キングの寝顔を何とはなしに眺めてみる。
と、その頬に涙の後が残っているのを見つけた。きっと、キングも泣くほど怖くて、それでもセブンに会いに来てくれた。
それが嬉しくて、彼女はその頬に口付ける。と、キングが眠たげに目を開いた。
「ん、……」
ぎゅっと握られた手にくすぐったさを覚えながら、セブンは微笑んだ。
「守ってくれてありがとう、キング」
マザーに言われた言葉はすんなりと心に馴染んで、けれども拭いがたい違和感をその二人に残した。
降り積もる雪の中で
セブンが外局に来てからすぐにその少年はマザーの子供となった。
キング、と名乗った彼は、必要なこと以外は口を開くことがない。セブンから話すことも特段無かったので、2人きりの生活は静かに始まった。
そんなある夜のことだ。
外は大雪で、音という音がかき消されて聞こえない。
そんな夜に一人でいるのが、セブンは堪らなく怖かった。
たった一人の身内だった母を亡くした夜、独りぼっちで所在なく縮こまっていた家の中を思い出すから。
忘れてはいけないことがあったはずなのに忘れてしまったセブンに、何か得体の知れない怖いものが罰を与えに来そうな気がしたのだ。
(こわい)
あの日のようにベッドの中でまるで繭に籠もる蛹のように体を縮こまらせて、セブンは一人震えていた。
(マザー……)
記憶の中で大丈夫よ、と抱きしめてくれたのはいつもマザーだった。
実の母の面影は、クリスタルに消されてしまった。温かい手も、優しい笑顔も、セブンの記憶の中には残らない。
だから、彼女はそれが怖かった。(私が思い出せないから)降り積もる雪は相変わらず辺りの音を消している。セブンの母は、音もなく彼女の中から消えていった。
何か怖いものが、あんな風に音もなく自分を連れて行ってしまうのではないか。
そんな恐怖に苛まれて、セブンはぎゅっと目を閉じた。
(嫌だよ)
(怖いよ)
誰かに縋れるならば縋りたかった。怖いと泣きじゃくりたかった。けれどもマザーはいなかった。
キングの部屋を訪ねなかったのは、偏に彼女のほうが年上だったからだ。
お姉さんにならなければ、そう思ったからだ。
それでも怖いものは怖かった。
苛む不安は大きさを増し、次第にセブンの目に涙が溢れる。
(いやだ、つれていかないで)
ひく、と喉の奥が引きつった。溢れた涙がぽろぽろと涙が目尻を、目頭を濡らすのを感じる。
(だれか、たすけて)
傍にいて欲しい。大丈夫だと抱きしめて欲しい。誰でも良い、誰か。
(そばに、いて)
とうとう堪えきれなくなった声が固く閉ざした唇から漏れたとき、セブンの耳にがちゃりと音が飛び込んできた。
「っ……だ、れ」
涙を拭くのも忘れて、セブンは飛び起きた。
「セブン」
ようやく聞き慣れた声が耳朶を打つ。
「キング……どうした?」
みっともなく声が震える。泣いていたのを悟られたくないのに、セブンの頬をいつの間にか涙が伝う。
部屋が暗いからキングの表情は判らないが、彼はおもむろに彼女に近づいて、ぎゅっと抱きしめた。
「大丈夫だ、セブン」
「なに、が」
「俺が、ずっと、傍にいる」
子供らしいふっくらした腕はマザーのように力強くはない。けれども、同じように温かい。
「俺も、怖い」
キングがぽつりと漏らした本音に、セブンはたまらずすがりついた。
「ひとりは、こわいよ」
もう、お姉さんでいたいなんて考えられなかった。
「つれていかれそうで、こわいよ」
「俺が傍にいる。セブンを連れて行かせたりしない」
だから、と抱きしめる腕に力がこもる。
「セブンも、ずっと俺の傍にいてくれ」
寡黙な少年がこれほど喋るのは珍しい。それでもその言葉は温かくて力強くて、何よりも安心できた。
「ありがとう、キング」
嘘なんてない、真っ直ぐな言葉にセブンは目を閉じた。腕を回してぎゅっとキングを抱きしめる。そのまましばらく身を委ねていると、つぅ、と頬を涙が伝った。
2人の鼓動が重なり合って、次第に眠気が訪れる。
「おやすみ、キング」
優しい腕の中でそう言って、セブンは意識を手放した。
夜が明けると雪は止んでいた。
目を覚ましたセブンは、キングの寝顔を何とはなしに眺めてみる。
と、その頬に涙の後が残っているのを見つけた。きっと、キングも泣くほど怖くて、それでもセブンに会いに来てくれた。
それが嬉しくて、彼女はその頬に口付ける。と、キングが眠たげに目を開いた。
「ん、……」
ぎゅっと握られた手にくすぐったさを覚えながら、セブンは微笑んだ。
「守ってくれてありがとう、キング」
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