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ここは「花待館」の別館となっています。非公式で「うみねこのなく頃に」「テイルズオブエクシリア」「ファイナルファンタジー(13・零式)」「刀剣乱舞」の二次創作SSを掲載しています。
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お久しぶりです。
教習所が再開したら結構時間が無くてびっくりしました。こんな時間なかったっけ……。早く免許取れるように頑張ります。
今回は零式2週目特典映像の「もし……」設定のキンセブです。多大なる捏造によって成り立っています。
では、どうぞ。



拍手[1回]


「いらっしゃいませ」
彼女にそう声を掛けられた瞬間、彼は心を撃ち抜かれたような気がした。
銀の髪に紫の瞳、白い肌に赤い唇。
抜群のプロポーションにたおやかな柔らかい声。
どことなく懐かしさの感じられる可愛らしい店員の手をぎゅっと握って、彼はこう言った。
「こんにちはお嬢さん、俺は心で弾くロックンローラー、キングだ」
セブンという名札をつけた彼女は目を丸くして、困ったように顔を背けた。
「お名前はメンバーズカードで分かりますから……」


君に心を届けるために


キングの行きつけのショップにそれはそれは可愛らしいセブンという店員が入ったのは先日のことである。
もう二週間も通いつめて口説いているが、セブンは相変わらず困ったように目をそらすだけで、デートの約束はおろか彼女の個人情報も掴めていなかった。
「……で、まだそのセブンちゃんとデートしてないんですか」
リフレッシュルームのテーブルで、きつねうどんをすすりながらトレイが呆れたようにそんなことを言った。
「ガードが意外と堅かった」
あんなにたおやかで大人しくて清楚な娘だから、メールアドレスの一つぐらい教えてくれると思っていたのに、とキングはため息を吐く。
近くできゃいきゃい噂話をしているラクロス部らしき女子の黄色い声も今は煩わしい。
「せめて学校が分かれば……」
「ナンパできるのにねぇ」
ですねぇ、とジャックとトレイが相槌を打ったとき、とんでもない言葉が耳に入ってきた。
「ねぇ聞いた?サイスがセブンに告白したんだって!」
「セブンは何も言ってなかったけど?」
「アキが見てました」
「じゃあお昼中に聞こうねぇ~!」
「呼んであるんです?」
「メールしといた!」
セブン、という名前に反応してキングは危うくコーヒーを吹き出しそうになった。
「セブン、ってあのセブンちゃんですかね」
「だったらすごいよね」
「……捗るな」
男三人がこそこそとそんな話をしていると、近くのラクロス部が「みっけ!」と叫んだ。
「セブン~!こっち!」
「もう、シンク!授業中にメールはやめてくださいって何度も……あっ」
可愛らしいその声につられて振り向くと、びっくりして立ち尽くす美少女がいた。
銀の髪に紫の瞳、白い肌に赤い唇。優しげな端正な顔立ちに、抜群のプロポーション。
まさしくショップで一目惚れした、あのセブンがそこにいた。しかもばっちり目が合っている。
「セブンちゃん」
彼女は随分動揺していたらしい。キングに声をかけられてびくりと肩を跳ね上げた。
「な、なんっ、何ですかっ!?」
「何だ、忘れちゃったの?今日お昼一緒に食べようって約束しただろ?」
そんな約束などしていないのに、キングの口からはそんな言葉が転がり出た。セブンからは案の定「そんな約束してません!」と可愛らしい否定の言葉が返ってきたが、いいからいいから、と彼女の腕をとって座らせる。
「もう、なんなんですか……」
「いや、同じ学校だったんだなって」
そう言いながら肩を抱こうと腕を回せば、ぺしっと振り払われた。
「知ってます。何回も制服姿で来ていれば気付かないはずないでしょう?」
セブンは相変わらず困ったように目をそらした。
「言ってくれればいいのに」
「嫌です。言ったらどうせ、クラスに押し掛けるんでしょう?男の人はみんなそうですから」
つん、とつれない態度のまま、セブンは抱えていたお弁当箱のふたを開けた。その態度も大変可愛らしいのだが、彼女は今なんと言ったか。
「教えてるの?」
つんつんした態度を取られている事実に打ちのめされているキングのかわりに果敢にもジャックが尋ねる。すると彼女は心外だと語気を強めた。
「教えたくて教えてるんじゃありませんっ!皆さんどうしてもっておっしゃるから!ことわりきれなくて……」
勢いこんで言ったわりには言葉尻がしぼんでいるあたり、どうやらセブンはノーと言えない朱雀人らしい。だからあんなに困っていたのかと納得して、キングはお弁当箱の中から卵焼きを失敬した。一連のやり取りを見ていたらしいラクロス部からきゃあ、と歓声が上がる。
「もう、何してるんですか……」
セブンはおひたしを摘んだまま、頬を赤く染めて小さく抗議した。
それがまた可愛らしいのだが、とりあえず気になったことを聞くことにする。
「告白されたのか?」
彼女が首を縦に振る。若干のショックを受けたが、セブンの容姿ならば言い寄る人間がいてもおかしくはない。が、でも、とセブンが続ける。
「サイスは女の子ですし、私にじゃありませんでした」
サイスにとっては俗に言う不運、というやつだ。だが、この分なら間違いから始まる恋というやつはないだろう。それならば。
「俺がセブンちゃんの彼氏に立候補しても問題ないよな」
「えっ……」
彼氏がいるのか、と聞けばセブンは首を横に振る。
「なら、考えてみてくれないか?」
そう言えば、セブンはしぶしぶ頷いた。



「……で、どうして待ち伏せしてるんですか」
放課後、教室のドアを開けたセブンが呆れたようにため息を吐いた。
「考えてみてくれないかとは言ったが、セブンは俺のこと、全然知らないだろ?」
「それはそうですが」
なんでいきなり呼び捨てなんですか、と文句を零す彼女に、決まってるだろとキングは言った。
「恋愛は二人の相互理解が必要だ」
まぁ、相互理解が目的というのも間違ってはいないのだが、何よりセブンがどんな生活をしているのかを知りたかったのもある。
が、彼女はぷいとそっぽを向いた。
「あなたがもっと真面目な人だったら理解しやすかったんですが」
さりげなくひどいことを言われた気がするが、そんなことでめげるキングではない。
「まぁそう言うな。この後何か予定は?」
黒い手袋に包まれた手を握って尋ねれば、彼女が小さな声で何も、と答えた。
「今日はバイトも休みですから」
「ならデートしよう、セブン」
願ってもないチャンスだ。キングも放課後の予定はない。バンドの練習は面倒だからサボった、もとい心で弾いているから休んだ。
セブンのことを知れる良い機会だろう。
が、肝心のセブンは怪訝そうな顔をした。
「バンドの練習があるんでしょう」
「問題ない」
陶然のようにそう言えば、ふんわりおっとりしている彼女の紫色の瞳が険を孕んで細められた。
「……私今日はそっちに見学に行きますから」
「えっ」
言うなり魔法陣の方へと歩き始めたセブンがこちらを振り向く。
「練習場所はどこです?」
「あ、1組方面の空き教室だけど」
待ってこの急展開に着いていけない。
そうキングがこぼすと、セブンは拗ねたようにこう言った。
「私だって初めてです。今まではそういう方はクイーンが……クラスメイトが追い払ってくれましたし、私自身お断りしてたんです」
「じゃあ、何故」
「好きになるかもしれない方のことを知りたいと思うのは当然でしょう?」
セブンの耳元は赤い。
なんだか、脈ありかもしれない。
そう思ったら、幸せな気分になった。
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