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ここは「花待館」の別館となっています。非公式で「うみねこのなく頃に」「テイルズオブエクシリア」「ファイナルファンタジー(13・零式)」「刀剣乱舞」の二次創作SSを掲載しています。
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お久しぶりです。LRFFクリアしました。2週目やってます。
2をやっていないので、時間が出来たらやりたいなぁと思いますが、2ネタバレのみでもなんとなくどういう話なのかはわかったような気がしないでもないです。13シリーズって結局神話から人間の逸話に至るお話なのかなと。13とLRFF13のみだとそんな感じで、ついでにいろいろかぶるネタがあるなぁと。そういうの好きです。あとライトさんがいい笑顔を見せてくれて私は嬉しいです。ホプライ的にも美味しいお話でした。2週目は折角だからいろんな格好で戦っていただこうかしらんと思ってます。
そんなわけでLRFF13ネタバレ話です。もっと変態的にしようと思ったらできなかったのでまたリベンジします。
では、どうぞ。

届かぬ光に手を伸ばす

拍手[19回]


「ライトさん、もうすぐ六時です」
通信越しに呼びかければ、彼女は必ず返事をくれる。
「ああ、分かった。……戻るよ」
その声色は相変わらず凛々しくて、ホープの心をすんなり通り抜けてゆく。けれど、知っている。平静を装っていようと、彼女の身体は今、傷だらけなのだ。


届かぬ光に手を伸ばす


六時の鐘が鳴る。それと同時に帰還したライトニングが大樹ユグドラシルに向かう前に、ホープは彼女の腕を掴んで引き留めた。
「ライトさん、怪我してるでしょう」
僅かにライトニングの顔が歪む。
「問題ない」
素っ気ない返事をなかったことにして、ホープは強引にライトニングの服を脱がしにかかる。
「ホープ!」
「ダメです。僕の目を誤魔化せるとでも思ったんですか?ずっとあなたを見てきたんです、分からないわけ、ないでしょ」
美しいアンジュノワールも、ひどい怪我のせいで所々血がにじんでいる。見ていて痛々しい衣装を脱がせ、改めてぼろぼろのライトニングを見つめる。
「ライトさん」
脱がされたせいか誤魔化しきれなかったせいか、ライトニングは表情にはでないものの、年頃の女の子のようにむくれている。それがたまらなく可愛らしいのだが、彼女に傷でも残ったら目も当てられない。とりあえずエスナを掛けて、丹念にケアルを施してゆく。ライトニングはむくれたままだったけれども仕方がない。
「ライトさんは女の子なんですから、怪我とか気をつけてください。跡が残っちゃったら元も子もないでしょう?」
「ポーションがある」
「すぐ治した方が跡が残らないんです。それにライトさん、跡残っちゃったらクレセントムーン着れないですよ?」
綺麗なドレスなのに肌が傷だらけは嫌でしょう?と顔をのぞき込めば図星だったらしい、渋々と言った様子で彼女が頷いた。こんなとき、ライトニングが可愛らしいと思う。可愛いものに目が釘付けになっていたり、美味しいものを食べると僅かだけれども表情が綻んだり。デコレーションのひなチョコボが相当お気に召したらしく、仮眠を取るときすらも抱き締めて寝ていたり。ライトニングの女の子らしい表情をみる度に、何が何でもこの人を守りたいという感情が湧いてくる。
本当はもっと、ずっと前にその予定だった。ライトニングを守りたくて、いろんなことを頑張ろうと思って。それなのに彼女はコクーンを救った日、クリスタルになってしまった……いや、時が狂ったヴァルハラへ飲み込まれてしまった。真実を知ったとき、やっぱりどうしても諦めきれなくて、今度こそライトニングを迎える準備をしていた。けれども彼女に会いに行ったはずのライトニングの妹セラは命を落とし、ライトニング自身もクリスタルになった。ホープはAF500年代に苦労を重ねて来たのに、彼女に触れることすら出来なかった。
だからこそ、一層彼女を守りたいと願うのだ。ずっと彼女と共に、二度と掴んだ手を離さずに生きていきたいのだ。それが新世界であったとしても。
けれど、その思いは終末に向かうにつれて得体の知れない何かに乗っ取られて、じわじわ浸食されている。
「ねぇ、ライトさん」
傷の癒えた肌に指を這わせながらホープは囁く。
「大好きです」
「私も好きだぞ」
さらりと返された言葉には、色めいた響きはない。それがなんとなく悲しくて、ライトニングに抱きついて、柔らかな胸に顔を埋める。
「じゃあ……じゃあ、僕と結婚してください。ずっと一緒にいてください」
「ホープ……」
「僕のそばから、離れたりしないで」
無茶な願いなのは分かっている。叶わないのは分かっている。自分の我が儘で、ライトニングの未来を閉ざしてはいけない。けれどもそれ以上に彼女が恋しい。彼女が新世界で、誰か他の男と幸せになることなど考えるだけで気が狂いそうになる。元の自分はこんな嵐のような感情を持っていたのだと自覚させられる。
優しい手が、ホープの髪の毛をかき混ぜる。
「ホープ」
「……はい」
降ってくるライトニングの声と、いい匂いのする柔らかな身体が荒れ狂う心を静める。ホープの髪をすきながら、彼女は言った。
「私も、新世界で生きていけるかは分からない。……神が私に求めているのが何なのか、……分からない」
だが、とライトニングは続ける。
「もしも許されるなら、お前と一緒に生きていく未来を願うよ」
「ライトさん……」
嬉しい。素直にそう思う。気が狂うまで愛していた実感がなくなっても、ライトニングにそう言って貰えるだけで嬉しい。そんな未来はもう、ホープには叶うはずもない夢だ。いや、ライトニングにももう、望むことすら許されない夢なのだ。けれどもホープは無理やり笑う。絶望に打ちひしがれた心の中に、たった一輪咲いた幸せの花。それだけを思い起こして、ホープは笑う。
「嬉しいです。……でも、願ってくれるなら、なおさら無茶しないでくださいね?」
「肝に銘じておくよ」
そう笑ったライトニングは、やっぱり美しい。温かな気持ちと絶望を覚えながら、ホープは頷いた。
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