ここは「花待館」の別館となっています。非公式で「うみねこのなく頃に」「テイルズオブエクシリア」「ファイナルファンタジー(13・零式)」「刀剣乱舞」の二次創作SSを掲載しています。
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結婚が決まってからと言うもの、ライトニングの身辺はにわかに騒がしくなった。ドレス選びだの、指輪選びだの、ライトニングよりもホープを始めとする周囲のほうが乗り気になって進めていた。
連日の仕事の合間を縫って連れ出されて、ああでもないこうでもないと周りが悩むものだから……ライトニングが何もかも嫌になって、仕事も結婚式の打ち合わせも無いときにふらりと1人、どこかに行きたくなるのも無理からぬことであろう。
祝福の歌
気付いたら、コクーンを支える柱の元に来ていた。クリスタルの柱。これまでの全てが終わった場所、あり得た全てが始まった場所。その柱の中に、ライトニングの大切な友人が眠っている。
「ファング、ヴァニラ……久し振りだな」
眠っているとは解っていても、そう声を掛けずにはいられない。この先も一緒に生きていくのだと思っていたから、尚更。
「……私とホープは結婚することになった。お前たちの企みが……実を結んだよ」
だから帰ってこい。そう願わずにはいられない。
ファングとヴァニラが2人の背中を押さなければ、もしかしたらこんなに早く結婚することはなかったかもしれない。
『どうしたの?マリッジブルー?』
不意に、声が聞こえた。懐かしい声。
「マリッジブルー……かもな」
ヴァニラか、とは聞かなかった。ライトニングには聞けなかった。その代わりに肯定の意を示す。すると、また声が聞こえる。
『なんだよライト、やっと結婚なのに冷めちまったか?』
「有り得ない。ただ……少しだけ疲れただけだ」
『当然式はグラン=パルスでするんだろ?』
「その予定ではあるんだが……ドレスと指輪が……」
周りが率先して選びに連れて行くから、少し疲れた。そう言えば、2人が面白そうに笑う。
『ホープが張り切っちゃった?ライトニングも張り切っていいんだよ』
「仕事の合間を縫ってるんだ、そんな元気はない」
『寿退職とかあんだろ?ライトのことだ、ユウキューってやつもしこたまあんだから使っちまえよ!んで仕事辞めちまえ』
「簡単に言うが……ホープはまだ学生だぞ?」
稼ぎもないのに夫婦生活は営めない、とぼやけば、2人はまた面白そうに笑う。
「お前ら……」
『ごめんごめん。……ライトニングは、きっと寂しいんだね』
『ホープや周りが張り切りすぎて、ついて行けなかったんだろうな』
『置いてかれた気分になっちゃったんだね』
違う、と反論したかった。けれどもその言葉はあまりにもライトニングの胸の内に収まって、ちょっとやそっとでは抜けそうにない。
「あの日から……お前らに恥じない生き方をしようとして、もがいてきた。前を向いて走っているようで、私には何も見えていなくて。恋が本物かを見分けるために距離を置いたのに、いつの間にかホープなしでは生きていけなくなっていた」
そうか、とライトニングは1人呟いた。
私は寂しかったのか、と。
「あんなにホープが張り切っているから、置いて行かれた気分になったのか……」
『なら、待ってて貰えばいいじゃない?』
『ライトのほうが年上なんだ、少しぐらい待たせたって罰はあたらねぇよ』
ほら、と言われて振り向けば、銀髪を風に靡かせて全力疾走してくる青年が視界に映る。
「エクレール!」
青年が……ホープがあまりにも嬉しそうにその名を呼ぶものだから、ライトニングの胸は愛おしさでいっぱいになって、衝動のままに走り出す。そのままホープの胸に飛び込めば、出会った頃よりもずっと逞しくなった腕が彼女を抱き締めた。
「もうもう、心配したんですよ?今日は何もないから、エクレールといちゃいちゃしようと思ったのに」
「……すまない。その……指輪とかドレスとか、疲れてしまって」
あんまり張りきっているから、少し寂しかった。
そう素直に口に出せば、ホープの表情が至極嬉しそうにくしゃりと崩れる。
「エクレール、可愛い。気付かなくてごめんなさい。でも、言ってくれて嬉しいです」
「ホープ……」
「僕たちはこうやって夫婦になっていくんですね。幸せすぎて嬉しいです!」
だから、とホープがまるで柱の2人に宣言するように言葉を紡ぐ。
「エクレール、僕と幸せになりましょう。結婚、しましょう」
「ああ。……愛してる、ホープ」
2人の髪を揺らす風が、彼等からの祝福に思えた。
連日の仕事の合間を縫って連れ出されて、ああでもないこうでもないと周りが悩むものだから……ライトニングが何もかも嫌になって、仕事も結婚式の打ち合わせも無いときにふらりと1人、どこかに行きたくなるのも無理からぬことであろう。
祝福の歌
気付いたら、コクーンを支える柱の元に来ていた。クリスタルの柱。これまでの全てが終わった場所、あり得た全てが始まった場所。その柱の中に、ライトニングの大切な友人が眠っている。
「ファング、ヴァニラ……久し振りだな」
眠っているとは解っていても、そう声を掛けずにはいられない。この先も一緒に生きていくのだと思っていたから、尚更。
「……私とホープは結婚することになった。お前たちの企みが……実を結んだよ」
だから帰ってこい。そう願わずにはいられない。
ファングとヴァニラが2人の背中を押さなければ、もしかしたらこんなに早く結婚することはなかったかもしれない。
『どうしたの?マリッジブルー?』
不意に、声が聞こえた。懐かしい声。
「マリッジブルー……かもな」
ヴァニラか、とは聞かなかった。ライトニングには聞けなかった。その代わりに肯定の意を示す。すると、また声が聞こえる。
『なんだよライト、やっと結婚なのに冷めちまったか?』
「有り得ない。ただ……少しだけ疲れただけだ」
『当然式はグラン=パルスでするんだろ?』
「その予定ではあるんだが……ドレスと指輪が……」
周りが率先して選びに連れて行くから、少し疲れた。そう言えば、2人が面白そうに笑う。
『ホープが張り切っちゃった?ライトニングも張り切っていいんだよ』
「仕事の合間を縫ってるんだ、そんな元気はない」
『寿退職とかあんだろ?ライトのことだ、ユウキューってやつもしこたまあんだから使っちまえよ!んで仕事辞めちまえ』
「簡単に言うが……ホープはまだ学生だぞ?」
稼ぎもないのに夫婦生活は営めない、とぼやけば、2人はまた面白そうに笑う。
「お前ら……」
『ごめんごめん。……ライトニングは、きっと寂しいんだね』
『ホープや周りが張り切りすぎて、ついて行けなかったんだろうな』
『置いてかれた気分になっちゃったんだね』
違う、と反論したかった。けれどもその言葉はあまりにもライトニングの胸の内に収まって、ちょっとやそっとでは抜けそうにない。
「あの日から……お前らに恥じない生き方をしようとして、もがいてきた。前を向いて走っているようで、私には何も見えていなくて。恋が本物かを見分けるために距離を置いたのに、いつの間にかホープなしでは生きていけなくなっていた」
そうか、とライトニングは1人呟いた。
私は寂しかったのか、と。
「あんなにホープが張り切っているから、置いて行かれた気分になったのか……」
『なら、待ってて貰えばいいじゃない?』
『ライトのほうが年上なんだ、少しぐらい待たせたって罰はあたらねぇよ』
ほら、と言われて振り向けば、銀髪を風に靡かせて全力疾走してくる青年が視界に映る。
「エクレール!」
青年が……ホープがあまりにも嬉しそうにその名を呼ぶものだから、ライトニングの胸は愛おしさでいっぱいになって、衝動のままに走り出す。そのままホープの胸に飛び込めば、出会った頃よりもずっと逞しくなった腕が彼女を抱き締めた。
「もうもう、心配したんですよ?今日は何もないから、エクレールといちゃいちゃしようと思ったのに」
「……すまない。その……指輪とかドレスとか、疲れてしまって」
あんまり張りきっているから、少し寂しかった。
そう素直に口に出せば、ホープの表情が至極嬉しそうにくしゃりと崩れる。
「エクレール、可愛い。気付かなくてごめんなさい。でも、言ってくれて嬉しいです」
「ホープ……」
「僕たちはこうやって夫婦になっていくんですね。幸せすぎて嬉しいです!」
だから、とホープがまるで柱の2人に宣言するように言葉を紡ぐ。
「エクレール、僕と幸せになりましょう。結婚、しましょう」
「ああ。……愛してる、ホープ」
2人の髪を揺らす風が、彼等からの祝福に思えた。
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