ここは「花待館」の別館となっています。非公式で「うみねこのなく頃に」「テイルズオブエクシリア」「ファイナルファンタジー(13・零式)」「刀剣乱舞」の二次創作SSを掲載しています。
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こんにちは。
今年も夏休みに入りました。
コミケは一般参加ですが、次のイベント向けの原稿も書いてます。
そんなわけでピクシブ再録の小話です。
来月ライトさんのイベントまた来ますね、嬉しい!……ところでクリアしてたら再来月辺りにホプライが新婚旅行に来るとか無いんですかね?
では、どうぞ。
ミコッテの話 3
今年も夏休みに入りました。
コミケは一般参加ですが、次のイベント向けの原稿も書いてます。
そんなわけでピクシブ再録の小話です。
来月ライトさんのイベントまた来ますね、嬉しい!……ところでクリアしてたら再来月辺りにホプライが新婚旅行に来るとか無いんですかね?
では、どうぞ。
ミコッテの話 3
箱舟に帰還したライトニングの視界に、まず入ってきたのは猫耳だった。
銀色に輝く猫耳と、ゆらゆら揺れるふさふさの尻尾。驚愕にただ呆然としていると、猫耳が動いた。
「お帰りなさい、ライトさん」
「……ホープ」
いつもよりもきらきら、それこそウィルダネスの太陽のように輝いている笑顔のホープは、異邦の地の、ミコッテの衣装を身にまとっていた。
「その格好はどうした」
「似合います?ライトさんとお揃いですよ!」
過去の出来事も他人事にしか見られないと言っていた割には上機嫌なホープに小さく溜息をつく。
「やっぱりアンビヴァレンスで帰ってくるべきだったな」
そう、今日の帰還時のウェアはミコッテ。ユスナーンでのシュレディンガーとの戦闘が終わった瞬間に箱舟に送還されたために着替える暇がなかったのだ。やはり戦闘前にリスクを承知で着替えるべきだったかと思うが、上機嫌すぎるホープを目の前にライトニングは言葉を飲み込んだ。
「ライトさんが最近エオルゼアのこと、思い出してきてるみたいですし、なんか寂しそうだったから。これなら寂しくないですよね」
神の気まぐれで、薄ぼんやりとあの生命に満ちた異邦の地のことは思い出してきていた。
そうなると自分は深く関わった人間が気になる質らしい。ほんの短い期間に関わった人間、とりわけ冒険者の、1人のミコッテが気にかかってくるのであった。失いかけていた戦う覚悟も、希望も、そのミコッテの女を見ているうちに取り戻した。
彼女は今、どうしているんだろう、とそわそわしているのにホープは気付いているのだ。ライトニングが他に思いを巡らせていると穏やかでないのがホープの常で、今日もきっとそうなのだろう。口元だけは得意げに笑いながら、細められた目は力一杯不満の色を乗せている。
「……まぁ、身長も同じぐらいだったからな」
「ちっちゃかったんですね」
「私と比べればな。まあ、ミコッテの女はあの前後が多かったがな」
ふぅん、とホープは相槌を打って、でも、と切り出した。
「僕は前途有望ですからね。身長も経済力も」
「あの子は確かにジリ貧だって言ってたが、冒険者の中にはすごい金持ちもいるらしいぞ?」
「でもライトさんが覚えてるのってジリ貧ミコッテじゃないですか」
「ジリ貧ってやめろ。今はジリ貧じゃないかもしれないだろ」
あのミコッテは言っていた。
「お金がどんどんなくなるんですにゃ」
と。
きちんと食事くらいとっていて欲しい、と思っていると、ホープが不満げな声を上げる。
「ライトさん!僕だってミコッテ着てるんですから僕のことも見てください!」
「ホープ……」
変わったな、と思う。
以前、遠い昔に旅をしていた頃、ホープはなかなか自分の意見が言えなかった。
それもライトニングに対してだけだ。弟か子供に接するように接してやれば不満げな瞳でじっと見つめてくるし、かといって放っておけば構ってくれないと癇癪を起こす、いわば駄々をこねるガキだった。
それが長い長い年月を経て、言葉で自己主張するようになった。それが良くも悪くも大分成長した。
「お前を見ろ、って言ったって」
「僕もライトさんを食べたいです」
「も、ってなんだ」
まさかばかばかしい想像をしているのではあるまいかというライトニングの危惧を裏切らず、ホープはいった。
「だってエオルゼアでそのミコッテといちゃいちゃしたんでしょ!その子はライトさんを食べられなくても僕ならあなたを食べられますから!」
「何言ってるんだお前は!変な妄想をするんじゃない!」
だって、ともはや笑顔で取り繕うこともせず、ホープは涙目で訴える。
「ライトさんがミコッテばっかり気にするから!やきもち妬くに決まってるじゃないですか!僕だってこんなにライトさんを愛しているのに……」
「いや、それは……すまない」
ホープが言うような事実は全く以てないし、それは知っているはずなのだが、何となく胸が痛む。
「お前も色んな女から言い寄られていたようだが?」
可愛くない言いぐさだと思いながらも口にすれば、ホープはさっきとは打って変わって満面の笑みを浮かべた。
「僕はライトさん一筋ですから。やきもち妬いてくれたんですか?」
「ち、違……!あれはっ」
お前が変なことを言うから売り言葉に買い言葉だった。
そう弁解したくとも、ライトニングのことになると周りを見なくなるのがホープである。着替えるタイミングを逃して未だにミコッテ衣装のままのライトニングに抱きつくと、何度も嬉しいです、と囁きかけてくる。
「新婚旅行、約束ですからね!絶対、約束ですからね!」
その声は嬉しそうで、けれど隠しきれない悲しみが混じっていて、ライトニングは天井を仰いだ。
そうして、大分はっきりしてきたミコッテの面影に問いかける。
(なぁ……こういうとき、私はどうしたらいいんだ?)
自分の結末が大分分かってきたから、余計に切ない。セラを救う代償に、神がライトニングに望むことを叶えるならば、きっとすべてが終わったとき、ホープと共にはいられないのだろうから。
(もし奇跡が起こるなら……)
ささやかな望みを叶えてくれ、とライトニングは今はもういない神に祈った。胸元に顔を埋めてベソをかきながら胸の感触を堪能しているホープの頭を抱き締めながら。
銀色に輝く猫耳と、ゆらゆら揺れるふさふさの尻尾。驚愕にただ呆然としていると、猫耳が動いた。
「お帰りなさい、ライトさん」
「……ホープ」
いつもよりもきらきら、それこそウィルダネスの太陽のように輝いている笑顔のホープは、異邦の地の、ミコッテの衣装を身にまとっていた。
「その格好はどうした」
「似合います?ライトさんとお揃いですよ!」
過去の出来事も他人事にしか見られないと言っていた割には上機嫌なホープに小さく溜息をつく。
「やっぱりアンビヴァレンスで帰ってくるべきだったな」
そう、今日の帰還時のウェアはミコッテ。ユスナーンでのシュレディンガーとの戦闘が終わった瞬間に箱舟に送還されたために着替える暇がなかったのだ。やはり戦闘前にリスクを承知で着替えるべきだったかと思うが、上機嫌すぎるホープを目の前にライトニングは言葉を飲み込んだ。
「ライトさんが最近エオルゼアのこと、思い出してきてるみたいですし、なんか寂しそうだったから。これなら寂しくないですよね」
神の気まぐれで、薄ぼんやりとあの生命に満ちた異邦の地のことは思い出してきていた。
そうなると自分は深く関わった人間が気になる質らしい。ほんの短い期間に関わった人間、とりわけ冒険者の、1人のミコッテが気にかかってくるのであった。失いかけていた戦う覚悟も、希望も、そのミコッテの女を見ているうちに取り戻した。
彼女は今、どうしているんだろう、とそわそわしているのにホープは気付いているのだ。ライトニングが他に思いを巡らせていると穏やかでないのがホープの常で、今日もきっとそうなのだろう。口元だけは得意げに笑いながら、細められた目は力一杯不満の色を乗せている。
「……まぁ、身長も同じぐらいだったからな」
「ちっちゃかったんですね」
「私と比べればな。まあ、ミコッテの女はあの前後が多かったがな」
ふぅん、とホープは相槌を打って、でも、と切り出した。
「僕は前途有望ですからね。身長も経済力も」
「あの子は確かにジリ貧だって言ってたが、冒険者の中にはすごい金持ちもいるらしいぞ?」
「でもライトさんが覚えてるのってジリ貧ミコッテじゃないですか」
「ジリ貧ってやめろ。今はジリ貧じゃないかもしれないだろ」
あのミコッテは言っていた。
「お金がどんどんなくなるんですにゃ」
と。
きちんと食事くらいとっていて欲しい、と思っていると、ホープが不満げな声を上げる。
「ライトさん!僕だってミコッテ着てるんですから僕のことも見てください!」
「ホープ……」
変わったな、と思う。
以前、遠い昔に旅をしていた頃、ホープはなかなか自分の意見が言えなかった。
それもライトニングに対してだけだ。弟か子供に接するように接してやれば不満げな瞳でじっと見つめてくるし、かといって放っておけば構ってくれないと癇癪を起こす、いわば駄々をこねるガキだった。
それが長い長い年月を経て、言葉で自己主張するようになった。それが良くも悪くも大分成長した。
「お前を見ろ、って言ったって」
「僕もライトさんを食べたいです」
「も、ってなんだ」
まさかばかばかしい想像をしているのではあるまいかというライトニングの危惧を裏切らず、ホープはいった。
「だってエオルゼアでそのミコッテといちゃいちゃしたんでしょ!その子はライトさんを食べられなくても僕ならあなたを食べられますから!」
「何言ってるんだお前は!変な妄想をするんじゃない!」
だって、ともはや笑顔で取り繕うこともせず、ホープは涙目で訴える。
「ライトさんがミコッテばっかり気にするから!やきもち妬くに決まってるじゃないですか!僕だってこんなにライトさんを愛しているのに……」
「いや、それは……すまない」
ホープが言うような事実は全く以てないし、それは知っているはずなのだが、何となく胸が痛む。
「お前も色んな女から言い寄られていたようだが?」
可愛くない言いぐさだと思いながらも口にすれば、ホープはさっきとは打って変わって満面の笑みを浮かべた。
「僕はライトさん一筋ですから。やきもち妬いてくれたんですか?」
「ち、違……!あれはっ」
お前が変なことを言うから売り言葉に買い言葉だった。
そう弁解したくとも、ライトニングのことになると周りを見なくなるのがホープである。着替えるタイミングを逃して未だにミコッテ衣装のままのライトニングに抱きつくと、何度も嬉しいです、と囁きかけてくる。
「新婚旅行、約束ですからね!絶対、約束ですからね!」
その声は嬉しそうで、けれど隠しきれない悲しみが混じっていて、ライトニングは天井を仰いだ。
そうして、大分はっきりしてきたミコッテの面影に問いかける。
(なぁ……こういうとき、私はどうしたらいいんだ?)
自分の結末が大分分かってきたから、余計に切ない。セラを救う代償に、神がライトニングに望むことを叶えるならば、きっとすべてが終わったとき、ホープと共にはいられないのだろうから。
(もし奇跡が起こるなら……)
ささやかな望みを叶えてくれ、とライトニングは今はもういない神に祈った。胸元に顔を埋めてベソをかきながら胸の感触を堪能しているホープの頭を抱き締めながら。
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